第53回 三井ゴールデン・グラブ賞

表彰式インタビュー

プロ入り2年目の昨シーズンは、528補殺でシーズン補殺の日本記録を樹立。今シーズンはそれを更に上回る535補殺で自身の記録を塗り替えた菊池選手。打率もリーグ2位と走攻守すべてにおいて活躍を見せ、チームへ多大な貢献を果たした。広島の“赤い忍者”といわれるプレースタイルに隠された想いを聞いた。

(2014年12月3日インタビュー)

広島の偉大な先輩の
大記録に追いつきたい

—2年連続三井ゴールデン・グラブ賞(以下、三井GG賞)受賞、おめでとうございます。今回は、セ・パ両リーグを通じて最多となる237票を獲得しての受賞ですが、今のお気持ちをお聞かせください。

素直に嬉しい気持ちですが、大先輩の山本浩二さんの10年連続受賞という大記録に追いつきたいと思っています。今はまだ二歩進んだだけ。スタートしたばかりだという印象ですね。

—リーグ2位の打率3割2分5厘という数字も大変素晴らしいですが、何より驚いたのは、昨シーズン樹立したシーズン528補殺の日本記録をご自身で塗り替えられたことです。打者としても二塁手としても、大きな活躍をされた今シーズンを振り返ってみていかがですか。

写真:菊池涼介選手

写真提供:ベールボール・マガジン社

打者として意識していたのは、とにかく「芯に当てる」ことです。芯に当たればとりあえず飛ぶんだと(笑)。守備では「ボールを最後まで諦めずに追う」ことを常に意識していました。ですから、いつの間にか遊撃手がいる方まで食い込んだり、自然と守備範囲が広く、深くなっていましたね。
あと、グラウンドでプレーする時は常にリラックスした状態を保つようにしていました。自然体でのびのびとプレーできれば、結果に結びつきやすいので。「この場面でゲッツーを取らなければ」とか、「チャンスだから絶対に打たなければ」と力みすぎるとよい結果が出ないことが多いです。

—“のびのびと”プレーするために、日々どのような練習を積み重ねられているのでしょうか。

基礎練習を徹底し、苦手な打球を克服することです。僕は特に正面から来る打球が苦手。いつ跳ねるか予測が難しく、距離感が掴みづらいですから。シーズン中も石井(琢朗)コーチに正面からの打球を数多く打っていただいて練習しました。

—グラブへのこだわりなどがあれば教えてください。

グラブは1年サイクルで変えていて、新しいグラブに指を入れた時の感覚をとても大切にしています。少しでもフィーリングが合わないと感じたら、そのグラブは使わず前のものを使います。また、オイルやクリームを塗って重さや硬さが少しでも変わると嫌なので、グラブは一度も磨きません。

皆を元気にする
ムードメーカーに

—稀代の二塁手として名だたる選手から守備力を高く評価されていますが、菊池選手が目標としていた選手や、今まさに注目されている選手はいらっしゃいますか。

小さい頃は、当時読売ジャイアンツだった仁志(敏久)選手や横浜ベイスターズだった石井コーチのプレーに惹かれていましたね。身体は小さくてもプレー次第でその存在が大きく見える。僕も他の選手より一回り小さいので、すごい選手だなとずっと憧れていました。
プロ入りしてからは、阪神タイガースの鳥谷(敬)選手のプレーに注目しています。鳥谷選手はポジションは違いますが、捕球から素早く体勢を整えて刺すような送球ができる体の強さに驚かされます。僕は自分が投げやすい体勢で投げているので、あまり子どもたちに真似しろとは言えませんが(笑)。鳥谷選手は皆のお手本となるような身のこなしができる選手だと思います。

—シーズン終了後には侍ジャパンのメンバーとしても日米野球でご活躍されました。メジャーとの試合を経験されて感じたことや学ばれたことなどはありますか。

パワーもスピードもまったく違うし、動きの全てがダイナミックでしたね。ただ、野球は野球で、やることに変わりはないと感じました。また、日の丸を背負い日本代表として他のチームの方々とともに戦えたことは貴重な経験でした。ノブさん(福岡ソフトバンクホークス・松田宣浩選手)はとてもチームを盛り上げてくれていたので、僕もチームのムードメーカーとして皆を元気にしたいですね。

—最後に来シーズンに向けての目標とプロ野球選手を目指す子どもたちへメッセージをお願いします。

写真:菊池涼介選手

山本浩二さんの10年連続の記録を越えるため、来シーズンも受賞できるように努力していきたいです。また、最近では女性のカープファンも増えてきているので、多くの方に支持されるよいプレーをしていきたいと思います。
プロ野球選手を目指す子どもたちには「夢は諦めなければ絶対に叶う」と伝えたいですね。野球が大好きならずっと好きでいてほしい。僕はプロになった今でも野球が大好きです。

菊池 涼介(きくち りょうすけ)

1990年3月11日生まれ。東京都出身。小さい頃から野球一筋で、高校時代は三塁手、大学時代は遊撃手を務めた。2012年広島カープに入団、正二塁手として起用される。翌年にはシーズン528補殺を記録し、1955年から破られることのなかった坂本文次郎の522補殺を抜いてシーズン補殺数歴代1位に。そして2014年、自身の記録を上回る535補殺をマークし、球界を驚かせた。

写真:菊池涼介選手・鶴海哲也さん

聞き手
三井不動産 広報部
ブランド・マネジメントグループ長
鶴海 哲也(つるみ てつや)さん

何よりも菊池選手の常に前向きな姿勢が印象に残りました。どこまでも成長し続けそうな気がして、今後も目が離せない存在です。

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