堅実かつダイナミックな守備のみならず、スピード感あふれるプレーにも定評のある福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩選手。ムードメーカーとして選手を大いに盛り上げ、自身も結果を残すことで勝利を呼び込むチームの要は、グラウンドに立つその瞬間、何を思うのか。インタビューを通じて松田選手の野球へ賭ける情熱に迫った。
(2015年8月8日インタビュー)
—まずは2014年度、三井ゴールデン・グラブ賞(以下、三井GG賞)2年連続3回目の受賞おめでとうございます。
ありがとうございます。野球=バッティングというイメージが強いなか、守備も同じく重要だと思っているので、三井GG賞をいただけるのは本当に嬉しく思っています。トロフィーは実家の玄関に飾っているのですが、10個並べるのが目標です。
—昨シーズンに続き、今シーズンもチームの躍進に貢献されています。結果を残すために意識されていることはありますか。
「これだ」と思ったプレースタイルを貫き通すことですね。シーズン中、結果の良し悪しでスタイルを細かく変えていては、トータルでいい結果が残せないと思っています。
—現在、パ・リーグ三塁手部門で守備率トップですが、守備において大切にされていることはありますか。
確実に捕球してアウトにするのは当然のことながら、そのなかでいかに活き活きとアグレッシブにプレーできるかを心がけています。やはりひとつでも多くアウトを取りたいし、ひとつの守備が試合を左右するんだ、ということを皆さんに知ってもらいたいので。フィールドシート※にも臆さず飛び込んでいきます(笑)。
—とくに参考にされている選手はいらっしゃいますか。
高校時代にショートを守っていたので、ショートからサードにコンバートされた元・東京ヤクルトスワローズの宮本(慎也)さんのプレーはとても勉強になりました。とても堅実な守備をされる方でした。今は三井GG賞を受賞している選手はもちろん、現役の三塁手全員がお手本です。
—グラブについて、こだわりを教えてください。
新しいグラブは硬くて捕球しづらいので、シーズン中に練習で使っていたものを翌シーズンの試合で使用しています。また、手入れを怠るとすぐ傷んでしまうので、試合後は必ず磨くようにしていますね。三塁手のグラブは強打に対応するため基本的に深いですが、僕は深さに加えて球を捕えやすいように少しサイズアップしています。
—チャンスでしっかりと結果を出し、ファンの期待に応えてくれる松田選手ですが、重要な局面に立たされたとき、どのような気持ちで試合に臨まれていますか。
「絶対に勝ってやる」という気持ちを持ち続けることです。チャンスの時は緊張もしますが、悪いイメージを持たないようにして「絶対打つ」と心に誓ってバッターボックスに立ちます。気持ちで相手に負けると結果は出せません。
—そういったプレーがチーム全体の士気を高めることにもつながっていますね。
そうですね。勝っていたりいい流れになると当然気持ちが高ぶります。でも、負けていたりいい結果が出ていない時にも、声を出してチームを盛り上げたいと思っています。プレイボールからゲームセットまで、高いモチベーションで集中し続けなければ決して勝てません。だから、試合が始まれば上下関係は意識しません。僕自身が若手の頃に先輩にそうしてもらったように、皆がのびのびと全力でプレーできるような雰囲気をつくっていくことが、今の自分に与えられた役割だと思っています。
—毎年、個人として成績を残し、また選手会長としてチームのけん引役も担われている松田選手。今後もご活躍されていくことと思いますが、ご自身が理想とされている選手像はありますか。
ホームランを量産できるようなバッターではないので、走攻守すべてで高いレベルを目指さなければならないし、それをグラウンドで表現できる選手でありたいと思っています。そのためには、ただひたすら練習を積み重ね、ケガなく毎年フルイニング出場できるような頑丈な身体をつくることが大切。三井GG賞を受賞されている歴代選手たちは、皆さん身体が強かったですよね。そういう先輩方を見習っていきたいです。
—最後に、プロ野球選手を目指す子どもたちへのメッセージをお願いします。
野球はプレーヤーもファンも皆が楽しめる魅力的なスポーツなので、ぜひ野球界を盛り上げるひとりになっていってほしいと思います。そのなかで、バッティングはもちろん、守備、そして、三井GG賞にも興味を持ってもらえたら嬉しいですね。
※フィールドシート…一・三塁側に設置されたファウルゾーンまでせり出している観客席。ライン際の鋭い打球やボールを追う選手を間近で体感できる。
松田宣浩
1983年5月17日生まれ。滋賀県出身。高校時代は遊撃手。亜細亜大学を経て、2005年の大学生・社会人ドラフト会議にて希望入団枠で入団。2011年に三塁手として三井ゴールデン・グラブ賞を初受賞し、2013年、2014年と2年連続受賞。2011年、2013年はフルイニング出場を達成し、2014年から選手会長を務める。また、ワールド・ベースボール・クラシックや日米野球では代表選手のひとりとして侍ジャパンを盛り上げ、チームを力強くけん引した。愛称は「マッチ」。
益田千聖さん
東洋エンジニアリング
空間エンジニアリング部
福岡ソフトバンクホークスの大ファンなので松田選手にお会いできて光栄でした。とても緊張しましたが、色々なことを考えてプレーされている真面目な方なんだということが、インタビューを通じてひしひしと伝わってきました。これからますます応援に熱が入りそうです!
井上謙さん
東洋エンジニアリング
機械エンジニアリング部
会社の野球部に所属し、大の野球好きで、この機会を逃すまいとインタビュアーに応募しました。テレビなどを通じて明るい方とは知っていましたが、思っていた以上にフレンドリーな方でした。松田選手の身体の大きさ、人並みならぬプロのオーラが印象的でした。