昨年度、三井ゴールデン・グラブ賞を初受賞し、今後ますますの活躍が期待される北海道日本ハムファイターズの万波中正選手。今シーズン、直接送球補殺はセ・パ両リーグ最多。強肩から放たれる“レーザービーム” など、守備でファンを魅了している。今回は万波選手に、初受賞の感想や守備へのこだわりを伺った。(2024年8月21日実施)
(2024年8月21日インタビュー)
— 万波選手がかねてより目標にされていた三井ゴールデン・グラブ賞を昨シーズン、初受賞されました。改めまして、おめでとうございます。受賞の感想を聞かせてください。
三井ゴールデン・グラブ賞はずっと憧れていて、いつか獲りたいと思っていたので、今回の受賞は本当に嬉しいです。昨シーズンは送球の精度が上がり、自分なりに手応えを感じるプレーもあって、シーズンを通して守備力の成長を実感していました。そんな中、選んでいただけたので、受賞の喜びをしっかりと噛みしめています。今回の受賞をきっかけに、これからもこの賞を獲り続けたいという気持ちを持ちつつ、一戦一戦に真剣に向き合いたいです。
— 万波選手が「守備」に関して特に意識していることや、こだわっているポイントは何でしょうか?
守備で特に意識しているのはスローイングです。どんな距離からでもピンポイントに投げられるよう、スローイングの精度を高めることにこだわっています。プレーの中で補殺できるチャンスがあっても、投げ方が甘いとアウトにならない場面もあるので、思い切って正確に投げられるよう、もっと技術を磨いていきたいという向上心は常に持っていますね。
小さい頃から野球を続けていますが、学生時代はピッチングの練習が多く、本格的に守備を鍛え始めたのは実はプロ入りしてから。距離も速度も位置も、他の人ができないようなスローイングができる選手を目指していきたいです。
— 万波選手は、愛用されているグラブへのこだわりも大きいそうですね。
外野手の中でもかなり大きめのグラブを使っていて、サイズは規定ギリギリ。可能な限り大きなグラブを使うことで、打球をしっかりとキャッチできる確率が上がると考えています。また、捕ったボールを投げる際には握り替えのしやすさも肝になるので、メーカーの職人さんと密に打ち合わせながら、自分に合ったグラブを作っています。手に余計な力を入れなくてもボールを自然にキャッチできるように設計されていて、革も職人さんが一つひとつ選んでくれてこだわりが詰まっているので、非常に使いやすいです。
— これまでの野球人生では、スランプやケガに見舞われたり、苦しい時期を過ごしたり、悔しい思いをした経験もあると思います。そのような際には、どのような気持ちで乗り越えていますか?
野球をしていると、毎日いろいろなことが起こりますし、壁にぶつかることも多いですが、僕はそれを否定せずに受け入れるようにしています。困難な状況に直面しても、それを受け入れて前に進むしかない。辛い瞬間や、大変なこともたくさんありますが、それこそが必要なことだと信じて努力しています。
バッティングでは、年間500~600回は打席に立っていても、勝負を決めるような場面ではファンのみなさんの期待やエネルギーを強く感じますし、緊張やプレッシャーも大きいです。調子が良くないときに重要な試合があると、不安になることもあります。そんなときは、緊張や不安、興奮や高揚感をすべて感じながら、そういうものだと思って打席に立ちます。緊張しているからといって、特別に何かをしようとは考えず、もし力んでしまったならその状態で、そのときの全力を尽くすことを心掛けています。
— 今シーズン、特に印象に残った守備はどのプレーでしょうか?
今年7月のソフトバンク戦で、"球界トップクラスの快足"といわれる周東佑京選手を刺したシーンですね。2対1で迎えた7回表、ライトへのヒットで二塁ランナーの周東選手が三塁を回り本塁を狙ったところ、完璧な送球と捕手の伏見寅威さんのタッチでアウトにできました。あの場面では送球の強さや位置など、すべてがうまくいったので、個人的にも良いプレーができたと振り返っています。こうしたシーンはやはり嬉しいですし、球場もワーッと盛り上がるので、記憶に残る瞬間です。
— 最後に、将来プロ野球選手を目指す子どもたちに対して、メッセージをお願いします。
あまり肩肘を張らずに、野球を楽しんでほしいと思っています。僕自身も中学生までは、土日だけ野球をするチームで活動していて、平日は別のスポーツや遊んでばかりでした(笑)。幼い頃から野球一筋で成功する方ももちろんいますが、何より大切なのは、野球を好きでいることだと思っています。
僕が本格的に野球漬けの生活を始めたのは高校生になってからで、意外とそういう選手も多いです。必ずしも毎日何十キロもランニングしたり、素振りを1000回やったりして、「野球をやらなければならない」という義務感を持つ必要はないと思います。僕と同じように、週末だけ野球をするのでも良いし、肩の力を抜いて、野球に向き合ってください。
万波中正
2000年4月7日生まれ。コンゴ出身の父親と日本人の母親を持つ。小学2年生のときに投手として野球を始め、中学時代には東練馬シニアに在籍し、3年時に全国4強入り。横浜高校では1年春の県大会からベンチ入りし、同夏、2年夏、3年夏と甲子園に3度出場。2018年にドラフト4位で北海道日本ハムファイターズに指名され入団。21年にはプロ初安打、初本塁打を記録。22年にはチーム2位タイの14本塁打を放ち、23年には侍ジャパン入りを果たした。
渡邊広洋さん
三井住友ファイナンス&リース
広報IR部 部長代理 兼 企画部 部長代理
万波選手にお会いした瞬間、身長が高く、想像よりも体が大きくて驚きました!また、少し威圧感があるのかなとも思っていましたが、まったくそんなことはなく、とても話しやすかったです。インタビューでは、野球に対する前向きな姿勢も伺え、終始和やかな人柄がにじみ出ていました。これからのご活躍も楽しみにしています!