
2020年に中日ドラゴンズへ入団して以来、外野手として頭角を現し、昨年度は3年連続で三井ゴールデン・グラブ賞を受賞した岡林選手。日々の準備や努力を積み重ね、守備を大きな武器へと磨き上げてきた。今回は、守備にかけるこだわりや逆境との向き合い方、そして未来への意欲を伺った。
(2025年9月10日インタビュー)
— 3年連続となる三井ゴールデン・グラブ賞の受賞、おめでとうございます。改めて、受賞の想いをお聞かせください。
三井ゴールデン・グラブ賞は、自分にとって「一番欲しい賞」。守備を周りから認めていただける証でもありますし、3年連続で受賞できたことは光栄で、励みになります。これからも、ひたすらに一つひとつのプレーを大事にしていきたいと思います。
— 打撃が思うようにいかない時期もあるなかで、「守備で貢献する」という気持ちを強く持たれて結果を出されてきたそうですね。
打撃はどうしても波がありますし、思うような結果が出ないこともあるので、守備は常に安定していなければいけないと考えているんです。外野手の仕事は、一本の打球を確実に処理して失点を防ぐこと。派手さよりも、当たり前のプレーをきちんと積み重ねることが大事だと思います。
そのためにも、試合前には投手や打者の傾向をデータで確認して、事前にシミュレーションをしています。例えば左投手のときはこの方向に打球が多い、右投手ならこういう傾向がある、といった点を頭に入れて臨むんです。セ・リーグだと屋外球場が多いので、風の影響を一球ごとに確認しますし、ドームと天然芝・人工芝とでも打球の跳ね方や速さが変わる。そうした条件を踏まえてポジショニングすることで、捕れる打球が増えてきたと感じます。
— 今シーズン、特に印象に残った守備はどのプレーでしょうか?
8月31日※の横浜スタジアムでのフェンス際のプレーが強く記憶に残っています。最短距離で走ってフェンスとの距離感を確認しながら、タイミング良くキャッチできました。あの場面は1点につながるかどうかがかかっていたので、試合の勝敗を決めかねない長打を一本防げたことは大きな自信になりました。
こうしたプレーができたのは、2022年シーズンを最後に引退された福留孝介さんから学んだことが大きいと思います。守備について色んなことを教えていただき、特にポジショニングの感覚は繰り返し指導していただきました。「ここに立てばここに飛んでくる」という感覚から、データで得た情報をより確信を持って活かせるようになったんです。数字と感覚の両方が合わさることで、今の自分の守備につながっていると思います。

※8月31日の対DeNA戦、0-1での4回裏一死の場面で打者・松尾選手の左中間への大飛球をフェンス際でジャンピングキャッチするスーパープレー
— 岡林選手は、同じグラブを長く使われるそうですね。どのようなこだわりがあるのでしょうか?
今使っているグラブは、ずっと大事に使い続けています。シーズンごとに新しいものに替える選手も多いですが、僕にとってこのグラブは安心して守るための一番大切な存在。変えるのはすごく勇気がいりますし、馴染んだグラブだからこそ落ち着いてプレーできると感じています。
— プロ入り後、怪我やスランプに見舞われて苦しい時期を過ごしたり、悔しい想いをした経験もあると思います。どのように乗り越えられたのでしょうか?
一軍に定着した2022年以降だと、昨シーズンが一番苦労しました。キャンプ中に右肩を痛めてしまって、一軍の戦力になれないことが本当に悔しかったです。怪我が治ってからも、なかなか打撃が上向かなかったのでよく覚えています。
この経験から、怪我をしにくい体作りとケアを欠かさなくなりました。上手くいかないときほど「なんとかなる」と開き直って気持ちを切り替えて、また準備に戻る―その繰り返しを心掛けるようになったきっかけでもあります。
また、試合に出ても結果が出ない時期は、グラウンドに出るのが怖くなることもあるんです。そういうときは、あえて力を抜いたり、ぼーっとするくらいの気持ちで試合に臨んでみる。ファンの声援も大きな後押しになって、また前に進む力に変わっていくんです。

— 最後に、将来プロ野球選手を目指す子どもたちに対して、メッセージをお願いします。
僕自身は、小さい頃から毎日夕方6時になると兄と一緒に練習をしてきました。実家は三重県松阪市にあり、親が家にティーバッティングをできる場所を作ってくれたんです。
そうした経験から感じているのが、夢や目標を持ったら、それに向かって努力を続ける大切さです。野球に限らず勉強でも、一日10分でも良いので、必ず続ける習慣を持つ。その小さな積み重ねが、気付けば大きな力になって、人と違うものを生み出してくれるはずです。
三井ゴールデン・グラブ賞も、プロ入り当初は外野の練習をしていなかったので、まさか3年目に受賞する未来が待っているとは思っていませんでした。初めてトロフィーを手にしたときの喜びは忘れられませんし、今では守備が一番の武器だと自負しているので、これからも連続で受賞し続けたい賞だと感じています。
岡林勇希
2002年2月22日生まれ、三重県出身。高校時代は最速153キロの速球と通算21本塁打を誇る二刀流として注目された。2019年ドラフト5位で中日ドラゴンズに入団し、外野手へ転向。22年からレギュラーに定着して同年には最多安打のタイトルを獲得。23年には球団新記録となる29試合連続安打をマークした。24年は右肩炎症で一時離脱も、復帰後は外野守備で無失策を記録。堅実な守備を武器に再びフル出場を誓う。
國澤由希子さん
三井住友銀行
広報部 部長代理
普段はメディア越しに活躍される姿を目にしているので、今回はその裏側を知ることができてとても新鮮でした!データに基づいて綿密に準備を重ねる姿や、幼少期から夢を持ってコツコツと野球に向き合うエピソードからは、新たな魅力を発見した気持ちです。これからのご活躍も楽しみにしています!