三井ゴールデン・グラブ野球教室

選手インタビュー 特別対談

特別対談 王貞治氏、小野澤康夫氏

50回目を迎えた三井ゴールデン・グラブ賞。現役時代に本賞を第1回から第9回まで9年連続受賞した 福岡ソフトバンクホークス・王貞治会長と、三井広報委員会・小野澤康夫委員長(三井不動産取締役副社長執行役員)が 野球界や本賞に対する熱い想いを語りあいました。

1972年に三井ゴールデン・グラブ賞の前身であるダイヤモンドグラブ賞が制定。1986年から現在の表彰名称となっている。

守備に対する意識を変えた三井ゴールデン・グラブ賞

写真:王貞治氏

王会長:三井ゴールデン・グラブ賞が50回ということで、おめでとうございます。

小野澤委員長:ありがとうございます。

王会長:もう50回目になるんですね。三井ゴールデン・グラブ賞によって、守備に対する意識はものすごく変わりました。野球界が変わるということは、選手たちはもちろん、ファンの目線も変わってきます。それまでなんとなく見過ごしていたようなプレーにも目が向くから、選手たちも一生懸命練習しようと思います。

小野澤委員長:そんなに変わりましたか。

王会長:全然違いますね。むしろ、三井ゴールデン・グラブ賞がなかったら選手たちもガラッと変わりません。昔は給料の査定は、10のうち8が投打でしたが、今は9年連続で受賞している菊池選手(広島)のように、守備でも名前が売れるようになりました。ひとつのことでトップになるというのは大変なことですが、そもそも表彰する制度がなければ、トップになれません。そういった意味で、この50年で日本の野球界の守備は大きく変わりました。

小野澤委員長:50年続く賞はあまりなく、その点で価値があると考えています。今回受賞した山本投手(オリックス)は、小学生の頃からこの賞に憧れていたとコメントされていました。会社員も同じですが、陽が当たって評価されることはモチベーションになります。守備の素晴らしい選手が評価されれば「自分は守備で頑張るんだ」という目標も生みますよね。企業の組織の話になぞらえてみても、エースや4番だけでは成り立たず、甲斐選手(ソフトバンク)のように味方を助けるプレーをする人もいなければ会社は持ちません。打つ・投げるだけではなく、守備の役割は組織でも本当に大事です。

王会長:将棋でも「飛車角」だけではダメで、普段目立たなくても、「歩」や「桂馬」がすごく大きな役割を果たすこともある。シーズンを通してホームラン一本の選手でも、ものすごく良い活躍をしたりと、それぞれの役割があるんです。そうじゃないと面白くないですよね。

小野澤委員長:組織をカバーする人材を評価するこの賞の存在が、野球界全体をどんどんレベルアップさせ、成熟させていけると良いと思います。

王会長:ピッチングやバッティングは先天的なものが大きいですが、守備は数をこなせば上手になる。最初は投打に比べて軽く見られていますが、試合の流れの中でだんだん大事になってくるんです。この前のオリンピックの試合を見ていても、日本の守備はアメリカに比べて引けを取らなかった。彼らが日本の守備を見てびっくりしていたほどですよ。

コロナ禍でのスポーツ

写真:小野澤康夫氏

小野澤委員長:王さんはWCBF(一般財団法人世界少年野球推進財団)理事長として少年野球にも携わられていますが、コロナによって大会や野球教室が中断するなど、さまざまな影響があったと思います。

王会長:見えないものが敵ですからね。もう大丈夫だと思っても、また危ないということになったり。特に子どもたちが中心ですから、大事をとってやらなければいけない。しかし、人間は知恵がありますから、絶対にコロナには負けませんよ。まだまだこれからもいろいろな問題が出てくるでしょうが、ウイルスとの戦いは歴史上たくさんありました。これからも不屈の精神で絶対に負けるもんかと戦い続ければ、もっと良い対策が見つかるはずです。

小野澤委員長:私は三井不動産が東京オリ・パラ大会のパートナーだったこともあって、いろいろな心配がありました。結局、無観客開催になってしまい残念でしたが、セカンドベストとして皆でいろいろな方策を見つけて、それを楽しめるという知恵というか、人間の自足する気持ちというのは勉強になりました。三井広報委員会としては、コロナ禍でも三井ゴールデン・グラブ賞を提供することで社会貢献を続けたいと考えています。

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